「三人はその場で長い時間話していました。その姿があまりにも普通ではなかった。女性アイドルの父親は手を握りしめて震えていました。母親も人目もはばからず泣いていました。恋人の姉は両親に必死で何かを話しかけていました。」
住職の話を聞きながらみんなは真剣に次の話を待った。
「それから女性アイドルとその恋人の祥月命日には、必ず、その三人は一緒に墓参りに来ました。それは別に不思議ではないのですが、日が経つにつれて人が増えていったのです。まず男性が一人、たぶん弁護士さんだと思います。その後男性がもう一人、二十歳代前半の若者でした。」
「つまり最初三人だったのが、五人になったのですね。」
「そうです。しかも来るたび彼らは墓に報告をしているみたいでした。たぶんそれぞれが個別に何かを調べていたのでしょう。そしてそれを墓の前で報告して共有していたのでしょう。はじめはあの俳優たちが殺した証拠を探していたのでしょう。」
「そうでしょうね。」
「二人の一周忌に美鈴さんが、墓参りにやって来たのです。その時一緒についてきたのは、女性アイドルの母親だった。美鈴さんのマネージャーだと名乗ったのです。驚きましたが美鈴さんには黙っていました。証拠を見つけるために、美鈴さんに近づいているのだと思ったからです。」
「あの女性マネージャーが三年前に殺されたアイドルの母親だったのですか。だからご主人と離婚までして、苗字を変えたのですね。」
「それだけではないのです。実は父親は飲食店を経営していると聞いていたのですが、それがあの俳優の別荘の近くにあるのです。今回あの別荘に配達しているのですよ。二年前にあの店を買い取ったようです。たぶん三年前にアリバイを証明したのがあの店だったから、今回も利用されると思ったのでしょう。あそこの店員さんは女性アイドルの兄ですよ。」
そこまで住職の話を聞いて、みんなはやはり三年前の殺人の復讐だったんだと確信した。
「ねえ別荘の近くのレストランに行ってみない。」
川崎麗奈の提案にみんなは同意して、四人でレストランに向かった。