某有名大学の講師で、ミステリー作家の高岡杏介氏38歳、独身で背が高く、スポーツマンタイプのイケメンである。杏介は財閥の御曹司で大金持ちということもあり、高岡家は父親の義隆、母親の鈴代と住んでいます。通いのメイドの松波たか子さんと山内頼子さんの二人がいます。父親はもうすぐ仕事を辞めて、息子の杏介にあとを譲りたいと思っていましたが、杏介は今も独身で、大学の勤務も作家業もやめる気はなく、そんな杏介を父親の目にはいつまでも、自由にフラフラしているように思っています。そこで杏介を自分の部屋に呼んで話をすることにしました。

 杏介が父親の部屋に入ると母親の鈴代も一緒にソファーにすわって居ました。杏介が両親の向いのソファーに腰をおろすと、メイドの松波がコーヒーを3つもって入ってきました。コーヒーをテーブルに置くとすぐに部屋から出て行きました。松波が部屋を出てドアが閉まると、父親がカバンから束のような見合い写真を取り出しました。

「杏介、ここにあるのはみんな、育ちのいいお嬢様ばかりですよ。気に入った方を選びなさい、すぐにお見合いをセッティングします。」

「お父様いきなり何を言うのですか。お見合いだなんて。自分の結婚相手は自分で探しますので、ご心配なく。」

「杏介さん、もう何年前からそんなことを言っているのかしら、私はずっとあなたがかわいいお嫁さんを連れてきてくれるの待っているのに、このままでは私達が生きてるうちには、叶いそうにないのでね。お父様に頼んで素敵なお嬢様方をさがしていただいたのよ。」

「お母様そんな、僕は昔から結婚するなら恋愛結婚と決めていると、言ってましたよね。」

こんなやり取りをしばらく続けた後、父親の義隆が次のような条件のもと、見合いの話は一旦保留にするとのことになりました。その条件とは、これから1年以内に恋愛をして結婚するということでした。もしできなければ、強制的に相手を決めて結婚させるとのことで、杏介はしぶしぶ承諾しました。