事件があった次の日、朝から由美子は胸騒ぎがおさまらなかった。そして一人ではこの不安を持ち切れずに、両親がリビングでいたので、そこに行って話を聞いてもらうことにした。

 由美子がリビングに行くと、母の麻沙子は由美子に自分が座っている、ソファーの隣に座るように促した。そして由美子に静かに話しかけました。

「松田響輝さんは絶対に人を殺すような人ではないわ。確かに彼の控室で昔の恋人が亡くなっていたこと、あんなところになぜ行ったのか、わからないことはたくさんあるけど、犯人はかならず別にいるわ。なんとか犯人が捕まって、彼も早くよくなって、事件が解決してほしいわ」

「お母様……。でも……」

「由美子、心配しなくてもいいよ。きっと警察が真実を見つけてくれるだろう。私も松田響輝さんが人を殺すような人ではない。ましてや自分が一度は愛した女性を、手にかけるなんてことはできるはずはない。それにあの日は自分の新曲発表のパーティーだったのだ。そんな日のあんなことはしないよ」

「お父様そうですよね。」

由美子は父の言葉にその通りだから、きっとすぐに彼の疑いもはれるだろうと、考えて良いだろうとホッとした。由美子は自分の部屋から持ってきた、ミステリー小説を読み始めた。

 しばらくそうしていると、由美子のスマホが鳴った。川崎麗奈だった。

「由美子さん!大変よ!松田さんが最重要容疑者として、警察は考えているらしいの。私の父が警察に友人がいて聞いたらしいの。他に動機のある人はみんなアリバイがあるらしいの。しかも彼女が亡くなったのは松田さんの控室だったから、そこに彼女を呼び出したんだろうと考えてるみたいなの。」

「そんな。それで松田さんはなんて言っているの。」

「松田さんはまだ意識が戻らないらしいの。彼のご両親も心配していらっしゃるわ。あの由美子さん今日これから時間ないですか。」

「ええ。時間ありますよ。どうしたんですか。」

「実は相談したいことがあるのですが、学校の近くのファミレスまで出て来れませんか。松田さんこのままでは犯人にされてしまうんじゃないかって、私の彼氏もひどく心配していて、私たちにも何かできることはないかと言っていて、一度みんなで知恵を絞りませんかってことになって……」

「わかったわ。今から行きます。」

「ありがとう。じゃあファミレスで待ってます。」

投稿者

ほたる

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