そうしているうちにマネージャーは、やっと口を開いてくれました。

「実は去年、松田響輝さんがまだ美鈴さんとお付き合いしていると思っていたころ、自分たちの愛の証にお互いを受取人として、生命保険に加入したみたいですよ。そして今年は美鈴さんと彼氏がお互いを受取人にして生命保険に加入しているんですよ。だから美鈴さんが死んだら、彼が莫大な保険金を受け取ることになる。」

「じゃあ美鈴さんが亡くなったら、松田響輝さんと俳優さんが保険金を受け取るのですか。」

「松田さんはあんなことがあった後、美鈴さんが受け取る保険を解約したと聞いています。美鈴さんも松田さんが受け取る保険も、解約したらしいですので、美鈴さんが亡くなって得をするのは、あの俳優だけですよ。それに彼はとてもお金に困っていたのです。」

 マネージャーは眉間にしわを寄せて、憎しみをにじませてそう話した。

「あの俳優さんは人気もあり、俳優としての仕事も順調だし、CMも多く出ているんだし、なぜお金に困っているのですか。」

「彼は2年前に投資で大きな損失を出して、その時莫大な借金をした。その借金のほとんどが質の悪い闇金からの借り入れで、今もまだ借金が残っているのですよ。しかも彼は今後アメリカ進出を考えていて、その資金も必要だった。だからあの社長令嬢との結婚は何が何でも成功させなければならない。」

「つまりそれには美鈴さんが邪魔だったのですね。」

「そうです。」

「もう一つ聞いてもいいですか。さっき松田響輝さんがまだ美鈴さんと付き合っていると、思っていた頃って言いましたよね。それははじめから美鈴さんが、松田響輝さんとは付き合うつもりはなかったように聞こえますよね。」

「その通りです。あの俳優は美鈴さんを使って、松田響輝さんから大金を貢がせて、そのお金のほとんどを彼に貢いだそうだ。だからこそ美鈴さんに別れたいなんて言うと、全てを暴露されて、社長令嬢との結婚はおろか、芸能界にもいられなくなる。」

「そうですか。話してくれてありがとうございます。なんとか犯人を見つけて、松田響輝さんの疑いと美鈴さんの無念を晴らしたい。」

「そうですね。是非そうしてください。」

投稿者

ほたる

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です