ミステリー同好会の部室で、いつもの7人が集まっていた。そして先日書いた事件の時系列の模造紙と人間関係の模造紙を張り出して検討していた。俳優の婚約者である社長のご令嬢に会いに行った川本修次が話し始めた。

「あのご令嬢は俳優との婚約をしていると言っていた。しかもあの俳優は美鈴さんとは男女の関係はなく、恋人と書かれているのは、週刊誌のデマだとも言っていたらしいよ。だから、あの俳優が警察で、ご令嬢との婚約はしていないと証言したと教えてあげました。そしたら泣いてました。」

「そのご令嬢はとても気の毒ですね。あの俳優は本当に嘘つきですね。その上女癖が悪く酷い男ですね。」

川崎麗奈はご令嬢に同情したようにそう言った。

「そうですね。僕もかわいそうに思いましたよ。でもついでに、別荘にも若い女性を連れ込んでいたことを教えてあげました。ご令嬢はすぐに警察に行って、俳優との関係をすべて話してくると言っていたので、きっと警察も彼の身の回りを、もう一度調べると思いますよ。」

「しかし、問題は彼のアリバイですね。」

川崎麗奈の彼氏は考え込んでいた。吉川恭介が今度話し始めた。

「アリバイのことはとりあえず置いておいて、僕は美鈴さんのマネージャーさんに会ってきました。彼女は美鈴さんを殺したのは、あの俳優に間違いないって言っていましたよ。彼は二年前に投資で大きな損失を出して、多額の借金を闇金から借りていて、その返済に追われていた。だからお金にかなり困っていたので、社長のご令嬢との結婚は、絶対に成功させなければいけなかった。」

「そうですか。だから結婚に邪魔になる美鈴さんを殺したのですね。」

由美子はそう言った。

「それに美鈴さんにはあの俳優を受取人にして、生命保険を掛けていたそうです。」

「本当にひどい男ですね。何が何でもアリバイを崩さないといけない。」

川崎麗奈は顔を真っ赤にして怒っていた。

「それと美鈴さんは自分の意志で、静岡から松田響輝さんの控室に行ったみたいだが、彼女はあの俳優からそうするように指示されたみたいだと言ってました。」

投稿者

ほたる

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