山口俊也が話し始めた。

「実は僕も竹本さんと一緒に松田響輝さんのご両親にお話を聞いてきました。松田響輝さんの意識は戻ったらしいです。ホテルの控室でノックがあって、ドアを開けるといきなり誰かに殴られ、意識がなくなったので、犯人の顔は見ていなかったと彼は言ってたそうです。」

「松田響輝さんは意識が戻ったってことは、彼の容疑も晴れたのですか。」

由美子はそう言って山口俊也に聞いた。

「ええ、容疑は事件後しばらくして晴れてたみたいですよ。警察はふせていますが……。彼の傷はスパナで殴られたと判明し、しかもその凶器のスパナも警察は見つけたみたいですよ。スパナには彼の血痕もついてたらしいです。ただそのスパナには美鈴さんの指紋しかなかったので、彼を殴ったのは美鈴さんかもしれません。」

「それってどういうことですか。なぜ美鈴さんが彼を殴ったりするのですか。それに美鈴さんは殺されてますよ。おかしいじゃないですか。」

由美子は山口俊也の顔をじっと見ながらそう言った。

「そうですね。確かに美鈴さんが、なぜ彼を殴ったのかはわかりませんが、もう一人ホテルの控室に居たことは事実です。たぶん単純な動機ではないのでしょう。それにもしかしたら美鈴さんのマネージャーさんが話していた、保険金のこと関係があるかもしれません。」

「保険金って解約してるのじゃないのですか。」

川崎麗奈の彼氏はそう聞いた。

「そうだよね。でもそれってちゃんと解約されてるかどうか、保険会社に確認した方がいいんじゃないですか。」

「それなら、美鈴さんのマネージャーに保険会社を聞いて確認します。」

吉川恭介はそう言ってスマホを取り出して、美鈴さんのマネージャーに電話しました。そして数分話した後、電話を切って山口俊也の方に向いて、保険会社の名前を言いました。

「松田響輝さんの父親の顧問弁護士さんに、保険会社の名前を言って調べてもらおう。」

山口俊也はそう言って、スマホを取り出して松田響輝の父親にメールをうった。彼がメールを打ち終わると、由美子はボソッと呟いた。

「松田響輝さんは美鈴さんに殴られ殺されかけたなんて……」

投稿者

ほたる

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