七人は女優が涙ぐんでいる様子から、亡くなった女性アイドルとは関係のある人なんだと思った。
「その女性アイドルとは仲が良かったのですね。」
川崎麗奈は女優にそう聞いた。
「仲は良かったわよ。地元も一緒だったし、それに・・・それに彼女の恋人は私の弟なのよ。」
「えっ!そうだったの。知らなかったわ。あなたは私にも何にも話してくれなかったから、長い付き合いなのに、水臭いわね。」
もう一人の女優が言った。
「そんな話は辛気臭いから言わなかったのよ。それにあの俳優さんはいろいろ言っても、この業界では力のある人だし、事務所も大きいから、あまり三年前の事件の関係者だと思われたくないのよ。だってあの人たちに睨まれたら、今後の仕事に影響するからね。」
「そう、そうだったの。だから私にも話さなかったのね。でも今度の事件であの俳優も終わりかもね。」
その話を聞いていた山口俊也は二人の女優に向かって話した。
「三年前に女性アイドルを死に追いやったのはもしかして、美鈴さんの恋人ですか。」
「そうよ。事件が起こった時、あの俳優は真っ先に疑われたわ。でも、完璧なアリバイがあったのよ。その日あの俳優は別荘に居て、次の舞台の台本を覚えたり、役作りをしていたということだった。しかもその別荘には美鈴さんもいたの。二人が別荘に居たことは、近くのレストランから配達を届けた店員が証言していたのよ。だからはじめは自殺と他殺の両面で調べていたが、結局自殺ということになったのよ。」
山口俊也は考え込んでいた。川崎麗奈の彼氏は思わず言った。
「本当に松田響輝さんの事件と似ていますね。二度ともあの俳優は別荘に居たのね。しかもそのアリバイは配達に来たレストランの店員ですね。やっぱり何かトリックがあるのじゃないの。犯人はあの俳優さんしか考えられませんね。しかし本当に悪い男ですね。」
「私たちであの俳優のアリバイを崩さないといけないわ。なんとかできないかしら。」
今度は川崎麗奈がそう言った。
「それなら私たちも協力するわ。どこまでできるか判らないけれども。」
女優二人は同時にそう言った。