「おはようございます。みなさん本当にご心配をおかけしました。」
松田響輝は久しぶりに登校することができた。クラスメイトは笑顔であいさつして、みんな近づいてきた。松田響輝にいろいろと聞きたいことがあり話しかけていた。
「もうけがは大丈夫なの。」
「事件の犯人は誰なの。」
「美鈴さんに何か恨まれていたの?」
みんなは悪気はなかったが、かなり立ち入ったことまで聞いてきた。
「ごめんなさい。美鈴さんのことは僕にもわからないのです。それに僕の方はもう大丈夫ですよ。心配してくれてありがとうございます。」
松田響輝はアイドルらしいきれいな笑顔で答えた。由美子と川崎麗奈は松田響輝へのクラスメイトの質問が、ひと通り終わったのを確認してから、そっと彼に近づいて行った。
「松田さんもう大丈夫なの。今日の放課後はミステリー同好会の部室に行きますか。一応この前のメンバーが集まる予定何だし……。無理はしなくていいのよ。」
川崎麗奈はそう言った。
「もちろん行こうと思っているよ。あんなにみんなに心配やら、いろいろ調査やらしてもらっているのだから、それに僕はこれでもミステリー同好会のメンバーだし、自分の事件についても、僕が休んでいる間にもいろいろ調べてくれたんだってね。僕も一日も早く解決したいと思っているよ。」
「松田さんが入院している間、由美子さんがどれだけ心配していたことか。美鈴さんの殺人容疑がかかっているって知った時なんか、松田さんは絶対に人なんか殺す人じゃないって言って、容疑を晴らしたいって、一生懸命だったのよ。」
川崎麗奈の言葉に由美子は赤くなって下を向いてしまった。松田響輝は由美子の方を向いて真剣な表情で、話しかけた。
「ありがとう。信じてくれて、あなたがそう思ってくれることが、僕にとってどんなに心強いことか。本当にうれしいよ。」
由美子は無言のまま松田響輝の顔を見て頷いた。