山口俊也は松田響輝の方に声をかけた。
「松田さんあの俳優の別荘は、どこか知っているのですか。もし知っているのなら一度見に行きませんか。それに配達をしてくれていたレストランも、その別荘の近くにあるのですね。できればその配達した人にも話が聞けたら良いですね。」
「僕はあの俳優の別荘は知っていますよ。そうですね。行ってみたらいろいろわかることもあるかもしれないですね。僕もレストランから配達していた人に話を聞きたいです。それにその別荘には美鈴さんでも、婚約した社長令嬢でもない女性がいたのですね。」
松田響輝がそう言った。
「全く不誠実な男性ですね。次から次に女の人を……。」
川崎麗奈はそう言って、自分の彼氏の方を見た。
「本当だな。呆れた男だね。しかもお金にもだらしのないみたいだし、あんな男にどうしてみんな騙されるのだろう。」
川崎麗奈の彼氏はそう言った。
松田響輝と山口俊也がこれから別荘に行くことになった。早速二人はミステリー同好会の部室から出て、別荘に向かった。残った由美子や川崎麗奈と彼女の彼氏は、もう一度ホテルの松田響輝の控室に行って、自分たちでも見に行ってくることにしたので、三人もミステリー同好会の部室を出て行った。
松田響輝と山口俊也は別荘についた。 もちろん鍵はないので中には入れないが、庭から別荘のまわりを見て回った。 その時玄関近くでバイクの音がした。 二人は慌てて玄関の方に言った。 するとバイクが置いてあり、その近くで懐中電灯を持った男性が、玄関横で何かを照らしていた。
松田響輝と山口俊也は静かに男性に近づいて行った。
「ここでいったい何をしているのでしょうか。」
その男性はびっくりして飛び上がった。そして振り向くと気を取り直したように答えた。
「僕はこの近くのレストランの店員です。あなたたちはどなたですか。ここで何をしているのですか……。あのもしかして、松田響輝さんですか。それじゃあ、あの事件のことを調べに来たのですか。やはりあなた方もあの俳優さんを疑っているのですね。」
「それじゃあ店員さんも疑っているのですね。」
「ここではなんですから、うちのレストランでお話しませんか。僕も気になることがあって、お話したいのです。」