山口俊也は急に何か思い立ったように話しだした。
「もしかしたら、松田さんの事件も美鈴さんは、松田さんに掛けて受け取れる保険金が欲しくて、静岡のホテルにいるということにして、アリバイを作ったうえで松田さんを殺すために、控室に忍び込んでスパナで殴ったのじゃないかな。その後でそれを知っていたあの俳優が美鈴さんを絞殺したかもしれない。」
松田響輝も山口俊也の話を聞いて、確かにそう考えるとつじつまは会うが……。それを認めたくはなかった。
「美鈴さんとあの俳優さんは最近は不仲ということですが、それまではお付き合いされていたことはあるのですね。だったらお互いの家にも行ったり来たりしていたのですよね。もしかした美鈴さんの部屋に盗聴器か何か仕掛けてあれば、美鈴さんの殺人計画はわかりますよね。だったらそれはあり得ますよ。」
レストランの店員はそう言った。
「あの俳優さんの別荘にはあの事件の時、本当に女性はいたのでしょうか。もしかしたら録音されてたものを流していて、あの俳優もセンサーか何かで返事するような仕掛けをしているかもしれません。」
松田響輝はそう言った。
その時、山口俊也のスマホに電話がかかってきた。
「はい、山口です。どうしました。」
山口俊也はしばらく話をしていた。そして話が終わると、松田響輝の方を向いて言った。
「今のは川崎さんでした。あの俳優が任意で警察から出頭要請を受けたみたいです。たぶん何か新しい証拠が出たみたいです。とりあえず僕たちは学校に戻りますか。」
「そうですね。」
松田響輝は山口俊也に同意してレストランを出ようとした時、店員が声をかけた。
「あの何か新しい情報があったら、僕にも教えてください。このレストランや僕自身が巻き込まれでいるので、早く事件を解決してほしいのです。僕も何か気になることを思い出したら連絡します。」
「わかりました。僕たちの名刺を置いていきます。よろしくお願いします。」
松田響輝と山口俊也はレストランを出て、学校の方に向かって行った。