次の日、三年前の事件の真相が、あの俳優の口から語られたと、多くの新聞やテレビのワイドショーなどが報道した。
その後、何日もメディアが大騒ぎをし、それらの騒ぎに乗じて多くの人達が、SNSがあの俳優を叩き始めた。そのため、早々に彼の所属していた芸能事務所は、あの俳優との契約を解除して、これまでの管理責任を深く世間に謝罪した。
あの俳優は三年前に女性アイドルとその恋人を無惨に毒殺して、自殺に見せかけて、自分の罪を逃れた大悪人で、今回は自分と長く付き合っていた。恋人の美鈴さんも絞殺した。鬼畜のような男というレッテルがすぐに張られた。
あの俳優の武中雄太が、三年前の事件の真相を素直に話したのには理由があった。それは自分と美鈴を恨んでいる人が、彼に罪を被せて美鈴を絞殺したと主張したのであった。
もちろんその主張は服部弁護士から、美鈴を殺した真犯人を見つけるためには、武中雄太と美鈴を殺したいほど憎んでいる人がいることを、彼が主張することで、三年前の事件では裁かれなければならないが、美鈴の無念は晴らすように、真犯人を見つけることができるだろうと、説得したのであった。
この説得に武中雄太ははじめは否定していたが、このままでは武中雄太は美鈴を利用して、多くの悪事を行ってきて、利用価値が無くなった美鈴を無惨に絞殺した、殺人鬼ということになる。しかし三年前の事件で、自分と美鈴が行った事件を暴露して、その遺族があやしいと訴えた方が、美鈴の仇はうてると説得し、そのうち彼も納得した。
武中雄太は社長のご令嬢とは婚約して、結婚もする予定であったが、美鈴とはそのことでもめたことはないと主張した。彼女は武中雄太が、お金に窮していることは知っていたので、お金目当てで社長のご令嬢と、結婚するのだとわかっていたので、協力してくれていたと主張した。
しかも美鈴もお金には困っていたので、武中雄太が首尾よく社長のご令嬢と結婚出来たら、自分にもお金を回してほしいとも言われていた。つまり武中雄太には美鈴を殺す動機はなかったとも主張した。
警察は彼の主張に信憑性はないというと、ついに武中雄太がとんでもないことを言い始めた。それについては警察も世間もすぐには、信じがたいことでした。そのため刑事達は慌てて彼の言った、話の内容の検証をし始めた。