原田ひ香さん著作の『三千円の使いかた』についていろいろ書いてきましたが、最後に美帆さんと翔平さんの結婚話で、明らかになったお互いの生まれ育った家庭環境の違いに大きな問題があり、結婚することが二人の問題だけでなく、家族を巻き込んでいくということになっていきます。

私が印象に残っているのは美帆さんが翔平さんの家庭に招かれた時の場面がとても、印象に残っています。翔平さんの家庭はある意味気さくで、親しみやすいと言えなくはないですが、初対面の美帆さんの訪問に対するけじめというものに欠けているようです。

そういうけじめのなさは、人との付き合い方だけではなく金銭に関しても同様と言えるようです。現在家にいくらお金があり、いくら借金があるか把握できていないようです。しかもほしいものがあれば、借金して購入することに何の抵抗も内容でした。

小説の話ですが、とても心配な家庭でした。しかし翔平さんはそんな家族に疑問を持っているようで、自分の奨学金の借金も何とか頑張り返済しようとしています。

最初はこの結婚に反対気味だった美帆さんの家族でした。しかしそのため家族みんながいろいろなことを考え話し合います。そして結論的には祖母の琴子さんが、貯蓄の一千万円を年利1%で奨学金の返済用に美帆さんと翔平さんに貸すことにしました。

一見家族で利息ってと思う人もいるかもしれませんが、現実的な妥当な考えだと思います。なぜなら、家族であるので高利息の奨学金の返済を、一括で返済し堅実に返していけるようにする。祖母の老後の資金なので1%の利息は当然のことです。

すべての登場人物のキャラクターが生き生きと描かれていました。そしてなんといってもお金のことを、しっかり考える機会になった一冊でした