父はもう一枚の紙に美鈴が殺さた日の時系列を書き始めた。響輝はそれをじっと見つめていたが、美鈴が響輝を殴ってから、ホテルの外に運んだのなら、なぜ美鈴はホテルに戻って来たのか。それとも美鈴を殺した犯人は、ホテルで彼女を殺して、響輝だけホテルの外に運んだのかとも、二人は考えたが響輝を運んだのは美鈴であると、警察の調べで分かっている。
「お父様美鈴さんはなぜ、もう一度ホテルに戻ったのでしょう。あの俳優とホテルの控室で待ち合わせしていたのでしょうか。」
「美鈴さんがホテルに戻ったとは限らないよ。響輝をあの場所に運んだ後に、あの場所で殺されてもう一度運び込まれたのかも知れない。あの俳優の証言を信じるなら、ホテルには道が混んでいて、約束の時間より少し遅くなり、ホテルの外で女優さんの呼び止められて、足止めされている。」
「でもあの女優さんはあの俳優とは会っていないっと証言していますよ。」
「そう言っていた女優さんは三年前に、あの俳優さんと美鈴さんに弟とその恋人のアイドルを殺された人だったのだろう……。」
「あっ!そうでしたね。でも彼女がたとえあの俳優さんと合っていたのに,
会っていなかったって言う証言が嘘だったとしても、彼女には美鈴さんを殺せませんよ。」
「そうだね。でも殺人を実行してくれる共犯者がいるかもしれない。」
「美鈴さんを殺してくれる共犯者ですか?そんな人そう簡単に見つかりませんよ。」
「そうでもないさ。三年前の事件で殺されたアイドルとその恋人の関係者なら、同じ目的で手を組み犯行計画を立てて実行するかもしれない。現にこの事件であの俳優は三年前の事件は、自分と美鈴が計画して殺したと自白しているのだろう。」
「そうですが……。誰が一体、あの女優さんのまわりにあやしい人はいませんよ。」
「それはそうだろう、あの女優さんのまわりでそんな人がいれば、すぐに怪しまれるよ。だから三年前の事件の関係者だとわかり、響輝たちや警察の目をあの俳優さんに向けさせる役目を彼女はしているが、美鈴さんの殺人の実行は行っていない。」
父はそう言った後もう一度、さっき書いた二枚の紙に目を落とした。