刑事たちは母子の話を聞いているうちに、胸の奥に何か計り知れない薄気味の悪い怨念のようなものがこの事件の背景にはあるのではないかという気持ちになった。全く無関係の少年が何も知らずに事件に絡んできた。またその計画が1年も前から計画されていたかもしれない。自分たちの警察署だけでは解決できないのではないかと考え始めた。

 しかしそれと同時にいくつかの手掛かりもあった。一つはOプロダクションとR芸能事務所である。もう一つは殺された夕月和葉のマネージャーである。このマネージャーは夕月和葉の妹の夫であったということである。

 少年の家を出て警察署に帰った刑事たちは、署長に少年と母親の事情聴取の状況を報告し、夕月和葉の捜査本部との合同捜査の要請を依頼して欲しいと申し出た。それとOプロダクションとR芸能事務所の捜査と夕月和葉のマネージャーの事情聴収を頼んだ。

 夕月和葉の殺人事件の捜査本部も、現在は行き詰っているところであり、何かの突破口をと探していた為、合同捜査はすぐに行われることとなった。そして捜査本部は夕月和葉の事件の警察署に置かれることとなった。多くの刑事たちは藁をもつかむ思いで、第1回合同捜査本部が開かれた。

 身元不明死体の捜査本部からは、少年の家に事情聴取に行った二人の刑事が参加することになった。まずは夕月和葉の事件の状況と捜査の経過の報告がされると、二人の刑事は直感的に自分たちの事件と根っこの部分で深く関わっていると感じた。自分たちの事件同様にその残酷な殺され方や犯人の検討すら浮かんでいない。

 きっと昔からの深い恨みによる犯行だろう。単なる恋愛のもつれや金銭的トラブルのようなものではないだろう。犯人は強い執念を持っている。きっとまだ捜査の上に出てきていない動機が隠れているのだろう。それと共に身元不明の死体になった人物は、夕月和葉とどこかで繋がって、同じ恨みを受けている人物だろうと考えていた。

 

投稿者

ほたる

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