刑事は一旦流れた話が、なぜ今回少年がこんな電話をしてくることになったのかという経緯を詳しく話すように促した。すると少年は母親の方を見た。
「わたくしから説明します。さっき話した、夕月和葉さんのマネージャーさんから夕月和葉さんが亡くなってから三日後に電話があって、一旦はOプロダクションとの話は無かったことにしてもらうが、自分は別の事務所の役者のマネージャーになることになったので、その事務所で俳優として続けられるように今話をしているので、しばらく待って欲しいとの電話がありました」
「その電話は間違いなく、夕月和葉さんの元マネージャーさんだったのですね」
「ええ、あのマネージャーさんの声でしたよ」
「そうですか。それからどうなりましたか」
「その電話のすぐ後数日して、R芸能事務所の者という人が電話が入って、あのマネージャーの方から話はお聞きしていますが、こちらの事務所としましては、お宅の息子さんの演技力を一度見極めさせていただきたいのですが、よろしいですかと連絡があり、よろしくお願いしますと言いました」
刑事たちは真剣に話を聞いていた。
「その後しばらくは何の音沙汰もなかったのですが、突然自宅にR芸能事務所から分厚い封筒が届き、中に台本とその時間や場所などが細かく設定され、どのような感情を表現するかも事細かに書かれていました。私たちはこれが演技力の試験だと思い、この子と当日まで練習を重ねました」
「なるほどそれがあの電話だったのですね」
二人の刑事は何となくこの母子の事情は理解できたが、この事件の意味はいまだに謎のままでった。