土曜日の夕方、クラッシックディナーショーのために会場には、杏介と千賀子は二人でテーブルに着いているいました。テーブルには飲み物と前菜が置かれています。少し明かりが落ちて、そしてクラッシックの演奏も始まりました。二人は静かに演奏を聞きながら、ゆっくりと食事も初めました。そして一曲目が終わり、しばらく休憩のため明かりがつきました。それまで気づかなかったのですが、杏介の斜め前のテーブルに、進藤珠代と30歳代の男性と二人で座っていました。珠代の方も杏介に気がつき軽く会釈をしました。杏介も会釈してました。まずいところを見られたなと思い、それと同時に珠代と一緒にいる男性のことも気になりました。千賀子は珠代には気づいていないようでした。

 また明かりが少し落ちて、二曲目が始まりました。クラッシックを聞きながら、杏介はなぜか、自分と同伴している千賀子ではなく、珠代のことが気になり(あの男性は誰だろう。)そんなことが頭の中をめぐっていました。しかも先日あった時に珠代に、ただの仕事仲間以上ではないと言ったのに、こんなところを見たらどう思うのだろうとも思いました。しかしなぜそんなことを考えるのだろうとも思いました。ただの友達だし、それ以上ではないのはずなのに・・・・・。

 クラッシックディナーショーが終わり、二組はそのまま会場を出て帰っていきました。

 杏介は自宅に着いてから、ずっと珠代のことを考えていました。千賀子のことではなく、珠代のことです。なぜ、自分の中でも納得は納得できなかったのですが、相手の男性は誰かどうしても、気になって気になって仕方ありません。今日の千賀子はとても女性らしく、上品でしとやかで申し分なかったのです。しかし杏介はあまり覚えてもいませんでした。

 かわって千賀子は自宅に戻って服を着替え、シャワーを浴びてから寝室に行き考えていました。今日のクラッシックディナーショーで勝負をかけていました。しかし杏介は上の空その理由がわからない。その時千賀子のスマートフォンが鳴りました。

「千賀子どうだった。財閥の御曹司は、まあ君の手にかかれば、赤子の手をひねる様なものだろう。」

「それがまだよ。今日は交際を申し込んでくると思ったのに、あまり気のない様子だったわ。」

「君の育ちのいいお嬢様ぶりは完璧なはずだ。今まで落ちなかった男性はいなかった。君らしくない。」

「他に好きな女性でもいるのじゃないの。ちゃんと調べてくれたの。」

「間違いないはずだ。彼の生まれ育ち、彼の好きな小説、彼の好みの女性、彼の交際している女性はいない。しかも彼の父は早く仕事を息子に譲りたいと考えている。そのため一刻も早く息子の花嫁を迎えようと考えている。」

「わかったは、じゃあもう一度攻めてみるわ。」

「それでは次は、僕も君に直接手を貸そう。君があの財閥の御曹司の妻になれば、莫大な資産は自由になる。すべては君にかかているのだ。頼んだよ。じゃあまた連絡する。」

投稿者

ほたる

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