杏介と珠代はレストランに着きました。閑静な住宅街にまるでお城のような作りの高級そうな店でした。中に二人で入っていくと中に案内されたのは個室で、映画のムード音楽が流れていて、席に着くと、少しして一人の男性が入ってきました。杏介がその人を見ると、先日クラッシックディナーショーのときに、珠代と一緒に来ていた男性でした。その人の襟に弁護士バッチが光っています。

「紹介します。私の兄の盛男です。先日クラッシックディナーショーのときも一緒でしたよね。兄は是非杏介さんとお話したいと言うので、連れてきたのですよ。」

「初めまして、珠代さんと同じ大学で講師をしている高岡杏介と言います。よろしくお願いします。」

「お会いできて光栄です。進藤盛男と言います。高岡先生はミステリー作家としても有名ですよね。あなたの書かれた小説はすべてを読んませていただいています。」

「ありがとうございます。あの進藤さんは弁護士さんですか。」

「はい。まだ駆け出しですが。今日高岡先生に御足労いただいたのは、私の弁護の仕事のことで、少し教えていただきたいことがあるのですが・・・・・。」

「まあ話はあとにして、まずはお食事しましょうよ。」

珠代の言葉に三人は食事を楽しみました。食事が終わり三人は少し雑談をしていましたが、盛男が一枚の写真を出しました。その写真には 仲良さそうに笑顔で肩を組んだ一組のカップルが写っています。その写真の女性を見て杏介は驚きました。そうです。その女性は石川千賀子でした。

投稿者

ほたる

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