朝4時ホテルの電話がなりました。杏介は寝過ごしたと勘違いして、飛び起きました。電話に出ると川崎教授の取り乱した声がしました。
「高岡先生、石川先生がホテルの駐車場で誰かに襲われて、病院に搬送されてと警察から電話があり、関係者は今すぐに1階のロビーに来て欲しいって言ってるんです。あの君は研修会のあと石川先生とは一緒ではなかったのですか。」
「石川先生が襲われたのですか。ああ僕は研修会が終わってからは別々に行動してましたよ。それで石川先生の容態はどうなんですか。」
「詳しいことは何もわからないのですよ。警察からはロビーに来てくれと言われただけなので・・・・。とりあえず今から行きましょうか。」
「わかりました。」
杏介は電話を切ると急いで、身支度をして1階のロビーに降りていきました。ロビーには川崎教授と昨日同じテーブルに座っていた人がいました。そして二人の刑事はいました。
杏介が座ると刑事の一人が話し始めました。
「高岡先生ですね。昨日は石川先生と研究会で共同で論文を発表されたようですね。研究会が終わった後はどうされていましたか。」
40代後半の刑事としての威圧感を感じさせる言い方に杏介は不快に感じました。しかしことがことだけに淡々と答えました。
「石川先生からはお誘いいただきましたが、疲れていたのでホテル内で食事をすることにしました。そのため研究会が終わってからの石川先生のことはわからないです。あの石川先生は大丈夫なんでしょうか。」
「命には別条はないです。あの高岡先生はお一人で夕食を食べられたのですか。」
「いえ友人の部屋でルームサービスを頼んで、一緒に食べました。その後友人とラウンジで飲んでいました。」
「今は早朝なのでもう少ししてから、昨夜一緒だった方からもお話聞かせてくださいね。」
隣には20代後半の刑事が杏介の話の内容を黙ってメモを取っていました。そして二人の刑事は川崎教授の方に行って、話を聞き始めました。