次の日、昼過ぎまで杏介は寝ていましたが、突然ドアのノックで起こされました。入ってきたのはメイドの松波でした。松波は母親がリビングで呼んでいるとのことでした。すぐに行くと言ったので、松波は部屋から出ていきました。

 杏介は急いで歯を磨き、洗面をして、パジャマを脱いでシャツにスラックスを着て、リビングに行きました。リビングのソファーで母親の鈴代が座って紅茶を飲んでいました。杏介が入っていくと前に座るように促しました。

「杏介さん大変な研修会だったようですね。先ほど警察から連絡がありました。お父様にも連絡しましたので、夕方には帰ると言っていました。杏介さんは昼食まだでしたよね。私もまだなので一緒に食べましょう。」

「はい、お母様食事をしながら、研修会でのことをお話しします。」

 それから二人で食堂へ行って食事をしながら、詳しく状況を話しました。

「杏介さん、それであなたはどう思っているのですか、石川先生のことです。

「どうと言われても、ただの同僚ですから・・・・。でもさっき話したように進藤弁護士の話はかなり気になっています。石川先生のまわりで何人かの男性が変死していることは間違いないみたいですね。だから・・・・。」

「だから、そのことが今度の事件と関係あるのではないかと思っているのですね。それなら杏介さんこの事件のことを、もっと調べてみてはいかがですか。あなたも推理作家なら今後の小説の役にも立ちますよ。ちなみに今のあなたの見立てはどうですか。」

「お母様、急に見立てと言われても、今はまだ何も思いつきません。それにあんまりそういうことを調べるのは気がのりません。そういうことは警察に任せておく方がいいのではないですか。僕は石川先生にもこの事件にもすごく嫌な思いがします。」

「そうですか。それは石川先生に嫌悪感を感じているのですね。以前石川先生をこちらに連れてきた時とは、ずいぶん気持ちが変わってしまったのですね。もしかして他に好きな人ができたのですか。」

「別に好きな人なんていませんよ。」

「まあいいでしょう。でもお父様との約束は忘れてないですよね。」

「ああ、わかっていますよ。」

投稿者

ほたる

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