夕方になり父親の義隆が帰ってきました。義隆は着替えをすると、杏介と母親の鈴代を応接室に呼びました。二人が入ってしばらくすると、メイドの山内が二人の刑事を部屋に案内してきました。

二人の刑事はそれぞれ名刺を出して名乗りました。

「古川松男と申します。こちらは部下の中島悠介です。お疲れのところ申し訳ありません。少し話をお聞かせ願えますか。またお話ししたいことがこちらにもあります。どうかご協力ください。」

「私達でお役に立てることなら何なりと、お聞きください。」

義隆はそう言って協力を約束しました。

「あの杏介さん確認なんですが、研修会が終わってからのあなたの行動については、進藤盛男さんのホテルの部屋で一緒にルームサービスを注文して二人で食事をしてお酒を飲んだのですね。その後はラウンジに移動して飲んでいたのですね。なぜ移動したのですか。」

中島刑事は淡々とそう聞きました。

「なぜって・・・・。二人共酔ってましたし、あまり理由は、なんとなく移動したような感じかな。それが何か問題でもあるのですか。僕達のアリバイは完璧ですよ。」

「杏介さんと盛男さんあなた方二人のアリバイは完璧です。ただそれで全てですか。私達に言っていないことがあるのではないですか。隠し立てはよくないと思いますよ。私達はプロです。徹底的に調べたのですよ。」

中島刑事は詰め寄るような勢いでそう言いました。

「隠すつもりはないのですが、事件には関係ないですし、相手に迷惑が掛かりますので・・・・。」

杏介がそう言って口ごもったとき、ドアのノックがして、メイドの松波がお茶とお菓子を持って入ってきました。

投稿者

ほたる

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