「そうです。進藤盛男さんの妹で私が働いている大学の、経済学部の准教授の進藤珠代さんも一緒に夕食を食べました。珠代さんは大学には研修会に行くとは言わずに、休みを取っていたので、あのホテルにいることが大学に知れると、困ると言ってました。」

「なるほどそう言うことですか。しかしな進藤珠代さんが、あなたや石川先生を追いかけてきたのですか。先日進藤盛男さんが弁護士で石川先生を調べているとは聞きましたが、わざわざ大学に嘘までついて追いかけてきたのですよね。」

古川刑事は杏介にそう聞きました。

「たぶん僕や盛男さんだけじゃ心配だったのじゃないかな。あの方はしっかりしているからね。確かなことはわかりませんが・・・・。」

「そうですか。高岡先生のことが心配だったのですね。」

「えっ。」

杏介は古川刑事の言葉に小さく声を上げました。その様子に両親は少し驚きました。古川刑事は続けて話しました。

「進藤盛男さんにも同じ質問をしました。証言は今あなたの言ったことと一致しました。ついでに進藤珠代さんにも事情聴取しました。まあ大学には言いませんが、一応注意はしておきました。だからあなたが気に病む必要はないです。」

「そうですか。だったら刑事さんも人が悪いですね。息子はこんなに怯えているのを見たことはないですので、私も何事かと思いました。では話は以上で終わりですね。」

「もう一つお願いがあります。もう一度進藤盛男さん珠代さんも一緒に話を聞きたいのですが、警察までご足労いただくのは申し訳ないので、場をセッティングしていただけませんか。この前の石川先生の過去について、こちらも調べましたが食い違う部分があります。」

古川刑事はそう言いました。

「わかりました。セッティングできたら連絡します。」

杏介がそう言うと、二人の刑事はそれぞれ挨拶をして、帰っていきました。

「杏介、進藤さん達とはわが家で刑事さんと話しましょう。私達も何が起こっているのか、知っておきたいのでね。」

義隆はそう言いました。

投稿者

ほたる

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