「おはようございます。高岡先生。」
女子生徒達がそれぞれ挨拶しながら横を通っていきました。杏介は生徒に人気のある方なので、みんなが笑顔で話しかけてきます。杏介も笑顔でそれにこたえていました。いろいろなことがあったので、大学に来るのはずいぶんと久しぶりな気分でした。
研修会以前と以後では自分が大きく変わっていることも感じていました。そんな杏介に後ろから、いつになく明るい声で話しかけてきた人がいます。振り向くと進藤准教授でした。
「おはようございます。昨日兄から電話がありました。大変迷惑かけたようですね。申し訳ありませんでした。」
「いえいえ、たいしたことではありません。」
「あの警察の方まだ私達に話が聞きたいみたいですね。私と兄は昨日話し合って、次の土・日なら空いてますが、いかがでしょうか。」
「ええ僕も大丈夫です。じゃあ警察には僕から連絡しておきますね。時間などはまた連絡しますね。」
「はい。じゃあ私はもうすぐ講義なので、お先に失礼しますね。」
杏介は自分の研究室に向かいました。途中で川崎教授に声をかけられました。
「高岡先生、今日は講義はなかったのじゃないんですか。ご苦労様ですね。」
「研修会もあったので、大学に来るのも久しぶりなので、講義の準備をしておこうと思います。」
「そうですか。では高岡先生失礼します。」
杏介は研究室に行き、講義の準備をして昼過ぎに自宅に帰りました。