土曜の午後1時に杏介宅に盛男と珠美がきました。二人は応接室に通されました。メイドの松波と山内は飲み物とデザートなどを5人分用意していました。そこに杏介と両親も入ってきました。メイド達がセッティングが終わると応接室を出ていきました。
それぞれの席に着いた5人は軽く挨拶をした後、杏介の父親義隆は2時頃刑事が来るので、それまでゆっくり今回のことをはじめから教えていただけませんかとの言葉に、盛男が順を追って説明を始めました。5人がだいたいの内容を把握した頃、2人の刑事が家に到着しました。
応接室に刑事達が案内され飲み物とデザートがセッティングされた後、盛男は刑事達にもう一度事件のことを話しました。その話を聞きながら、2人の刑事は疑惑の目を盛男と珠美にむけていました。杏介はその気配を感じて両親の方の顔を見ると2人も同じことを感じていたようです。
盛男が説明を終えると、年上の古川刑事は話し始めました。
「進藤さん、今お話しいただいた内容なのですが、間違いはないですか。」
「刑事さん、それはどういう意味ですか。私が嘘をついているとでも・・・・。確かに最初は珠代のことを隠していました。それについては謝りますが、今話したことはすべて真実ですよ。」
「私達が疑問に思っているのは、事件当日の話ではないです。あなたが石川先生のことを調べていた時にいくつかの疑惑があると言っていましたね。亡くなった方々の金銭的なことについても石川先生に疑惑があると説明しましたよね。そのことです。」
「はいその通りです。亡くなられた方々の親類から、私に依頼がありました。事実です。」
「しかし、私達も石川先生が襲われてから、彼女の過去は徹底的に調べました。何人かの彼女と関わりのある男性が 亡くなるという不幸はありましたが、不審死とまではなっていません。しかも金銭面でもあなたの言葉とは矛盾しています。」