杏介は川崎教授ら二人が研究室を出た後、講義の資料を作成していると、スマートフォンが鳴り出ると進藤准教授からでした。

「高岡先生今少しいいですか。もしお時間があれば、先生の研究室にお邪魔してはダメですか。お話があるのですが・・・。」

「ええ、大丈夫ですよ。」

そう言って電話を切ってから、五分ほどすると進藤准教授が研究室に来ました。手には高級そうな和菓子を持っていました。

「これ、この前お取り寄せしたらとてもおいしかったので、高岡先生にもおすそ分けしようと思って、持ってきました。先生はお酒も少し嗜まれるけれども、甘いものが好きだということを先生のゼミの生徒さんにお聞きしていたので、特に和菓子がお好きだということなので、喜んでもらえるかなと思って・・・。」

「これは、これはわざわざ気を使っていただいて申し訳ないですね。僕は和菓子大好きですよ。」

「良かった。私も大好きです。」

杏介はお茶の用意をしてテーブルに置いて、二人で和菓子を食べることにしました。二人は世間話をしながら食べていましたが、杏介は珠代が何の話があったのか気になり聞きました。すると珠代は少し照れながらゆっくり話はじめました。

「別に大した話ではないですよ。ここ最近嫌なことばかりあるので、気分直しに一緒に旅行でもいかがかなと思って、あの二人で行くってことではないですよ。私の兄の大学の友人が軽井沢に別荘を持っていて、次の週末って三連休でしょう。その時に大学の友人兄を含めて五人とその奥さんや子供さんも来るので、10人前後の人がいく予定です。」

「そうなんですか。でも関わりのない僕までお邪魔してもいいんですか。ご迷惑ではないですか。」

「そんなことはないですよ。その別荘、昔華族の一族の物だったみたいで、かなり広いし、近くには美味しいフレンチレストランがあって、そこで食事は作ってもらって、配達してもらえるそうだから、まあもっとも食事代は各人が払わないといけないけれど、それに近くには美術館や映画館もあるので、結構楽しめると思いますよ。」

「じゃあお言葉に甘えて一緒に行かせていただこうかな。」

「やったー。決まりね。あのそれから一つだけ兄の大学の友人から、いろいろ話もあるって言っていたから、さっき嫌な事件を忘れてと言ったけど、事件に関する話も出るかもしれません。」

「なぜ・・・。」

「それは着いてからね。」

投稿者

ほたる

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