杏介と珠代は旅行の話を楽しくしていました。そのうち杏介は珠代に言いました。

「事件の話して申し訳ないのだけど、石川先生の疑いって晴れたんですよね。たまたま好きになってお付き合いした方が次々亡くなった不幸な方ってことですよね。お金の問題も解決したみたいだし。誤解しないでくださいね。石川先生とお付き合いしたいと言っているんじゃないですよ。今後の仕事のために確認したいだけです。」

「そうですね。解決したように見えますよね。でも・・・。実はその話を別荘でしようと思っているみたいですよ。最初に亡くなられた中村さんは、私の兄の大学の同級生で親友だったんですよ。だから兄は5年間も諦めずに、石川先生を調べ続けているのですよ。」

「そうでしたか。」

「それに兄は調べてるうちに石川先生のまわりで、何人かの男性が亡くなったことを考えると、石川先生一人でできることじゃないですよね。もし共犯者がいれば資産の寄付の話にも裏があるかもしれません。その上石川先生が襲われた事件もちょっと引っかかるし、兄はまだ諦めず調べているわ。」

「そうなんだね。この旅行は気分転換というよりも、どっぷり事件に浸かりそうですね。いいですよ。僕ももちろん関わりありますから、仕事上ですけどね。」

「仕事って、この大学のですか。何かあるのですか。」

「進藤先生も知っていると思いますが、経営上の問題で今まで細分化して、より専門的に学問を究められるというのが、この大学の売りでしたが、これから学科を統合して減らしていくんですが、手始めに来年度は文学部から行うようなのです。だからリストラなども行われるそうです。中心となるのが川崎教授ですが、僕と石川先生には今後も一緒に手伝ってほしいと言われたんです。」

「ふ~ん、川崎教授ですか。まあ別荘でその続きは聞きますね。じゃあ週末、楽しみにしてます。」

珠代は研究室から出ていきました。

投稿者

ほたる

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