「川崎教授と石川先生が親子・・・。」
杏介は信じられないという気持ちでいっぱいですが、写真もあり事実を受け入れるしかないのであった。しかしそれならば石川先生の母親はどうなったのでしょう。石川先生を捨ててその後どうなったのだろう。それが気になりました。
「石川先生の母親はどうなったのでしょう。生きているのでしょうか。」
「生きていますよ。その方のこと気になりますよね。私達も気になって調べたのです。なかなかわからなかったのですが、その方のその後をたどったら驚きましたよ。きっと高岡先生も驚きますよ。」
「進藤先生もったいぶらずに教えてください。」
「実は出産後しばらくは川崎教授と一緒に住んでいたようです。しかし教授もあの頃は貧乏大学生で妻と子供を養うことはできなかったようです。そこで思いあまり施設の前に子供を置き去りにしたみたいです。その後母親は高級クラブでホステスとなり、川崎教授を支えていました。そのクラブの客から不動産会社を手広く営む女性実業家の話を聞いて、川崎教授に引き合わせた。」
珠代はそこまで話すと一つため息をついてから、少しお茶を飲んでから話を続けました。
「川崎教授は結婚して7年後、妻の実業家はストレスから精神を病んで精神科に通い始め、それでも病状は悪化して最後は家出をして、その3日後交通事故で亡くなったそうです。その時川崎教授は妻の財産をすべて相続しています。まあ変死だったので事情聴取は受けたみたいですが、日頃の病状から事故で処理されたみたいです。」
珠代がそこまで話したところで今度は盛男が話し始めました。
「川崎教授は最初の奥さんの援助でNPO法人の慈善事業を立ち上げているのですよ。内容は恵まれない子供達への支援をする事業らしいのですが・・・。まあ最初は本当に自分の子供のことがあるので、その子供たちを支援したいと思っていたようです。しかし経営の手腕は今一つだったみたいで、少しずつ悪化していったみたいです。」
杏介はそんな話を聞きながら、進藤兄妹が何を言っているのか、だいたい理解しました。川崎教授たちは慈善事業の経営にお金がいるため、最初の奥さんが亡くなって3年後、代議士のご令嬢と再婚して、その父親からの支援もあったので、それで経営を行っていましたが、父親が失脚したのでその後、石川先生の交際相手から寄付をさせたのであろう。