みんなは一通り話が終わると少し気分を変えようということになり、せっかくここまで来たのだから、近くの美術館や映画館にでも行って見ようということになりました。杏介は見たい映画があるので映画館に行きたいと思っていました。みんなは美術館や映画館やドライブなどといろいろな希望があったので、自由行動ということになりました。

「高岡先生私も映画が見たいのでご一緒してもいいですか。」

珠代がそう言いうと杏介はにっこり笑って頷きました。そしてそれぞれ別荘を出ていきました。杏介と珠代は映画館について、ポップコーンや飲み物を買って、映画を見ました。映画はとてもロマンチックな恋愛ものでした。二人は映画を黙って真剣に見入っていました。

 二人は映画館を出て近くのフレンチレストランで食事をすることになりました。食事をしながら二人は別荘に集まった盛男の大学の友人の話になりました。杏介にとってはみんな大学を出て社会でバリバリ第一線で働くすごい人たちに見えました。もちろん弁護士の盛男も准教授の珠代も含めてです。

「進藤先生、今日来られた方々ってみなさんすごい方ばかりですね。あのこんなこと聞くのなんですが、小川さんって仕事辞めてどうするのでしょうね。ずっとバリバリ働いていた人みたいだけど・・・。まあこんな踏み込んだ話は失礼かもしれませんが、ちょっと気になったのでね別にいいんですけどね。」

「結婚するんですよ。私の兄とね。そして兄の仕事を手伝うんですよ。たぶん恥ずかしかったから言わなかったのでしょうね。ほかのみんなにはまだ話していないのでね。この機会にみんなに様子見て話すみたいですけどね。それまで黙っててやってくださいね。」

「ああーそうなんですね。わかりました。それはおめでとうございます。」

「兄もだからそれまでに自分たちの仲間だった中村君のことをはっきりさせたいのよ。実は小川さんは以前中村君をずっと好きだったんですよ。中村君が亡くなった時に小川さんの嘆きようはとても見ていられないものだったと聞いています。あのごめんなさいね嫌なことが続くので、ここへ来たのによけい事件の話になりましたね。」

「仕方ないですね。こうなったら一日も早く事件を解決して、この呪縛から解放されたいですね。」

「それって私達に協力してくれるってことかな。私達の言ってること信じてくれるってこと。」

「最初から疑ってませんよ。でも今度川崎教授が結婚される相手はどんな人かご存じですか。」

「ええ知っているわ。私達の大学の女帝の理事長よ。年はもう70歳近い人よ。前理事長である旦那様は3年前に癌で亡くなっているわ。まあ前理事長はその時80歳を過ぎていたから、しょうがないことだけど、残された奥様の理事長は前理事長が亡くなり、大学の経営が不安で、その頃から川崎教授が近づいていたみたいですよ。」

「そうですか。知らなかった。」

「そうです。だから今の大学はすべて川崎教授の思いのままになっている。だから私も今年度末で大学をやめるように、経済学部長を通じて言いわたされました。たぶん川崎教授や石川先生のことを調べたからだと思います。」

投稿者

ほたる

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