杏介と珠代の二人はフレンチレストランを出て、別荘に戻っていきました。別荘に着くともう他の友人達も戻っていました。みんなはそれぞれの部屋でくつろいでいました。杏介たちも自分の部屋に行って、ソファーに座り込んで、珠代の話した今年度末で大学をリストラされる話を考えていました。

「はあ~進藤先生辞めるのか。」

杏介は無意識に呟いていました。杏介自身も今年度末には結婚相手を決めて父の事業の後を継ぐため、大学をやめなくてはいけないかもしれないのです。だから杏介も珠代のことを同情している場合ではなく、来年度の自分の将来も不透明なままです。

杏介はいろいろなことを考えながら、いつの間にかウトウトして、気が付くと眠ってしまいました。

 (「杏介さん起きてください。お仕事に遅れますよ。」「もう少しだけ寝かせて・・・珠代さん・・・」「杏介さん・・・杏介さん・・・」)

突然スマートフォンが鳴りました。びっくりして目が覚めました。

「夢か・・・。」

スマートフォンに出ると珠代からでした。夕食の用意ができたとの知らせるためでした。それを聞いてすぐ行きますと答えてから、時計を見ると少しウトウトしただけだと思っていたのですが、一時間以上眠っていたようです。杏介は顔を洗って食堂に行きました。

食堂に行くとみんなが揃っていたのです。食堂にはクラッシック音楽がかかっていました。杏介がクラッシック音楽が好きなのを進藤兄妹は知っていたので、みんなからの心遣いでした。しかもテーブルの上にも華やかにバラなどの花で飾られていました。

「この食堂ずいぶん華やかに変わりましたね。明日は帰らないといけないのですね。みなさんにお会いできて、本当にうれしく思います。もしよろしければ今後も仲良くしていただければありがたいです。」

杏介がそういうとそこにいた全員がもちろんですと言ってくれて、今後もお互いに仲良くしましょうと約束しあいました。その後全員でいろいろなお話をしながら、楽しく食事をしました。少しアルコールも入って本当に有意義な時間を過ごしました。翌日みんなはそれぞれの自宅に帰っていきました。

投稿者

ほたる

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