次の日、三人は警察署の応接室に通されて、そこには古川刑事と中島刑事がいて三人に座るように促しました。古川刑事は三人の顔を見ながら話し始めました。

「驚かないでください。とても信じがたい話ですが真実です。実はやはり石川先生と交際された男性の不審死は殺人でした。しかしその犯人と殺人の動機が私達もみなさんもとても考えも及ばないことだったのです。この殺人に川崎教授と石川先生は関係なかったのです。いや全くではないですが・・・。」

「川崎教授と石川先生は事件に関係ないのですか。でも・・・。」

盛男は思わずそう言いました。それを聞いて今度は中島刑事が説明を始めました。

「もちろん慈善事業に全資産を寄付したことは石川先生から勧められてというか、ほぼ詐欺に近い状態ですが、その件に関しては現在川崎教授と石川先生を取り調べている最中です。まあ結婚詐欺を立証できるかどうかは微妙なところです。」

「でも川崎教授が理事をしている慈善事業に寄付させているのに、結婚詐欺が立証できないのですか。なぜです。」

「男性達は美しい石川先生にメロメロで、この寄付の方は石川先生は強要していないのは事実ですので、自主的に寄付したということになります。石川先生の気を引くために、彼女が支援している慈善事業に寄付したということになる。もちろん石川先生にそうするように仕向けられているのですが。」

「でも石川先生にはその男性達と結婚する意志はなかったのですよね。だったらやっぱり結婚詐欺じゃないですか。」

「それもそうは言いきれないのでね。なんといってもお付き合いしている状態のときに男性達は亡くなっているので、しかも別れ話は出ていない。そうなると石川先生の結婚の意志があったかなかったかも、本人以外はわからまいのですよ。川崎教授とは恋愛関係ではないですから、実の親子ですからね。」

その話を聞いていた杏介は、川崎教授と石川先生との研究会のホテルでの事件がきょうげんだったのは何のためだったのだろうかと疑問を持ちました。

「刑事さんなぜ二人はホテルであんなきょうげんの事件を起こしたのですか。」

「高岡先生の気を引くためですよ。高岡先生が進藤兄妹から石川先生の疑惑を聞いたので、高岡先生の態度が変わっていったことを川崎教授が気づき、一芝居打つことで石川先生の疑惑を晴らし、同情をかって高岡先生にもう一度近づくためです。川崎教授はそう言ってました。」

「そうだったんですね。でも川崎教授と石川先生はどうしてそんなにお金が必要だったんでしょうか。お二人共そんなに金遣いの荒いようには見えませんが・・・。しかもかなりの金額を手に入れているのに、そのお金はどこにいったのでしょう。やっぱり不自然です・」

「それはこの手紙を読めばわかります。」

そう言って中島刑事が手紙を三人の前に置きました。

投稿者

ほたる

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