母が出ていった後、由美子は両親には内緒で考えていた、自分で起業をする計画について、思いを巡らせた。由美子は小さい頃から、自分が社長になりたいと思っていたので、中学の時はどんな会社が良いか考えていた。由美子の頭の中では、SNSを使ったものなら、開業費はあまりかからずできるだろうと思っていた。  

 まずは、ホームページの作成を、デザインするようなことを考えました。中学のころ近所のスーパーマーケットの、ホームページを作成するアルバイトをしたことがあり、かなり評判がよく、現在も口コミで何軒か依頼がある。これを小さな会社としてやっていけないかと考えた。

 アルバイトではなく起業するとなったら、それなりの準備が必要になる。一つは経理ができないといけないので、簿記の勉強も中学の頃からしていたので、今年は日商簿記2級の資格も取ろうと、目標を立てていた。またわずかではあるが、アルバイト代をジュニアNISAを使って積立投資をしていた。

 由美子は高校生になった今、起業すると決めていた。同じ起業するなら、法人格を取得しておきたかった。将来、会社が大きくなったときのことを考えていた。そのためにはまず法務局に、届け出をしなければいけない。それから税務署にも届け出しなければいけない。それは春休み中に仕上げてしまいたかった。

 現在は資本金が少なくて行けるので、10万円を予定していた。自分で全ての書類を揃えて手続するつもりなので、あとは印紙代くらいだった。一応両親には話さないといけない。父には話してみて、許可が得られたら、母に話さないといけないが、父より母の方が反対しそうだった。

 父は女性も男性も自分の意志で、自分らしく生きていくことが大切で、自立した人生を生きていくことが、幸せであると考えていたが、母はいつまでも、女性は男性に養ってもらうもので、そのために大切なのは、女性らしいとされる、しとやかに見せることや、甘えることをうまくなって欲しいと望んでいた。

 そのため、娘の由美子が会社をおこして、起業することなどは、とんでもない。女だてらに何を考えているのか。そんな可愛げのないことを考えるよりは、玉の輿に乗ることを、考えるようにというだろう。だから父を自分の味方につけて、母の説得を手伝ってもたいたかった。

ただ、今まで父は母に逆らったことは、1度もない。とても優しく寛大で、男性は女性のわがままを、包み込んでいけるくらいの、大きな心を持たないといけないと考えていた。つまり母の反対に対しては、味方してくれるかどうかは、わからないのである。

(父にはいつ話をしよう。明日の夜・・・。それとも次の土曜日、父が仕事の休みに1日かけて話してみようか。)

そんなことを考えていた。しかし今日はもう寝よう。明日ゆっくり考えよう。

 

投稿者

ほたる

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