由美子の部屋のドアがノックされ、母の麻沙子が入ってきた。

「お母様こんな早くから、なんなんですか、まだ6時ですよ。学校もまだ休みなのに、別に寝ていたわけではないですが、何か急用ですか。」

「由美子、昨日は聞き忘れていたのですが、あなたがこれから通う、あの学園に超人気アイドルが入学するみたいなの、昨日近所の方に聞いたのよ。あなたも知っているでしょう。【微笑みの妖精】のキャッチフレーズで有名な東條翔琉って子よ。たぶん同級生になるのよ。」

「何なの、そんなことでこんな朝早くに入ってきたの。私はテレビをあまり見ないので、芸能界のことはほとんど知らないわ。それにそんなことには興味はないわ。」

「まあ本当にあなたという子は、世間の話題に疎いのだから、とても素敵な方よ。私はこの子が出てきた時から、大ファンなのよ。ねえ、入学式の日に一緒にいったら、私もお会いできるかしら。」

由美子は呆れて、大きなため息をついた。

「お母様、お話はそれだけですか。それより、今日お父様はどうされているのですか。」

「今日はお仕事お休みで、書斎にいると思いますよ。何か書類の作成をしないといけないとか、言っていましたよ。」

「お父様は忙しいのですね。」

「さあ、用があるのなら、書斎に行って、聞いてみたらいいと思いますよ。」

由美子はそうしようと思い、部屋から出ようとしました。母にも部屋から出るように促しました。

「由美子は本当に愛想のない子ね。少しは女の子なのだから、愛想よく笑顔で男の子たちと接しなくてはいけませよ。それでないと、素敵な伴侶は見つかりませんよ。」

「お母様、大きなお世話です。」

由美子は部屋を出て父の書斎に行きました。

投稿者

ほたる

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