「今日は授業終わってから時間ないですか。由美子さん」

川崎麗奈が食堂で、ランチのハンバーグをナイフで切りながら、隣に座っていた由美子に聞いてきた。

「特に何もないけど、どうしてですか。」

「私たちはまだ部活って入ってないでしょう。由美子さんはもう入る部活決めているのですか。もしまだなら、ミステリー同好会っていうクラブがあるのですよ。面白そうじゃない。実は私の彼氏も入部予定なのよ。それで今日の放課後に、今年度最初の集まりがあって、新入生の見学もできるらしいのよ。」

そう言うと川崎麗奈はハンバーグを口に入れた。

「ミステリー同好会ですか。何をするクラブなんです。」

「彼氏から聞いた話だと、ミステリー小説を読んだり、書いたりするみたいなんだけど、結構自由で、トリックだけ考えてる人とか、過去の未解決事件について、勝手に推理したりとか、かなり緩いクラブみたいなのよ。面白そうじゃない。別に読書嫌いでもいいみたい。あまり縛りないから。」

「ふ~ん。見学してから入部するかどうか決めてもいいの。」

「もちろん良いわ。実を言うと、私の彼氏の先輩が去年作ったのだけど、あまりに認知度が低く、部員が少ないのよ。今年も入学後すぐの説明会にも、新入生は誰も来なかったらしいの。先輩は人数少ないけど、かなり面白い人がいて、楽しめると思うって言っていたらしいわ。」

「じゃあ、見学に行くわ。」

由美子と川崎麗奈はランチを食べ終え、コーヒーを飲みながら、今度は自分達の夢を話し始めた。

「由美子さんはここの高校受験をトップで合格したのでしょう。頭良いんですね。私は文系は得意なんだけど、理数系が苦手かな。だから私将来は大学院で日本文学を学んで、大学で教えたいと考えているの。できるかどうかわからないけどね。由美子さんは将来の進路は決めているの。」

「私は自分の力で自立した女性になりたいの。そのため自分で起業したいと思っているの。実はそのプランも今立てているのよ。そんなこと言うの恥ずかしいくらい、まだまだなんだけどね。」

「由美子さんは私の思っていた通りの人だった。初めてあった時から、自立した女性って感じがしていたわ。聡明で凛としている。私も道は違うけど自立した女性を目指いしているの。ここはお嬢様学校のイメージが強いので、花嫁修業的クラブも多いけど、結構自立した考えを持つ生徒も意外に多いと聞いているわ。」

由美子も川崎麗奈については、お嬢様系の花婿探しの女性と思っていたので、この言葉は意外だった。

「由美子さん起業プラン出来上がったら、私にも見せてね。」

「ええ良いわ。」

 

投稿者

ほたる

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