第1回のミステリー同好会がスタートした。由美子はかなりの新入生が来ていることに、とても驚いていた。川崎麗奈の方を見ると、彼女は自分の彼氏の方を見ていた。彼氏も彼女の方を見て口パクで何かを言っていた。由美子は川崎麗奈が楽しそうだなあと思っていました。

「このミステリー同好会は特に上下関係で縛ったりしません。自由をモットーにしています。ただお互いに礼儀正しく、それぞれに尊敬しあえる状況を作りたい。トラブルのない、みんなが楽しいと言える、関係を維持し続ける同好会にして行きたい。」

 由美子はずいぶんと理想的な話をされているが、それを実現するのは簡単ではない。この部長はどうやって、それを実現するつもりなのだろう。そんなことを考えていた時、前の方の人が手を挙げて、質問した。

「今の話はとても良いことだと思います。感激しました。部長はそれをどのようにしていけば、そのような理想のミステリー同好会になっていけるのでしょうか。」

「ありがとうございます。良い質問ですね。確かに実行していくことは簡単ではないです。一つは自分と同じ人は一人もいません。だからお互いに相手の価値観や、人生観に対して尊重していくことが大切です。なので相手を非難したいと思ったら、一度考えてください。お互い違う人間であるし、お互いにかけがえのない唯一無二の尊い存在である。そこを心の底に刻み付けてください。」

 由美子は部長の話を聞いて、なるほど、確かにその通りだと思った。だから、このミステリー同好会は自由をモットーにしているですね。でも、この緩い考えでは、クラブとして統制がとれるのでしょうか。なんか統一性のないクラブになってしまうのではないか。そう考えているとまた別の人が質問をしました。

「あの自由をモットーにしていますが、みんなが自由にやりたい事をやっていいのですか。ミステリー小説を読んだり、書いたり、また過去の事件を検討したりできるってことですね。そうなるとミステリー同好会としての統一性はあるのですか。」

「ありがとうございます。確かに最初は統一性はないと思います。しかし、同じミステリー同好会でお互い自由に活動しているうちに、他者の活動に興味を持ち始める事があります。それに対して質問したり、観察したり、最初は少しずつ始めながら、お互いのことを、深く理解していけるようになると思うのです。それは時間がかかりますが、確実に強いつながりになると思うのです。」

「あの続けて質問します。そんなに時間をかけたら、高校を卒業するまでに強いつながりは作れるのでしょうか。」

「焦らないでください。その強いつながりは高校三年間で完成させるのではなく、生涯かけた友情を作りたいのです。縁あって出会った人です。このミステリー同好会を通じて、最高の人と人とのつながりを作っていきたいと思います。とりあえずみんなで仲良く進みましょう。他に質問のある方はいらっしゃいますか。」

 質問をする人はいませんでした。

「それでは私の話は以上です。ではみなさんご自由にご活動ください。」

 その言葉で先輩たちはそれぞれの活動をはじめました。新入生たちはその先輩の活動を見て回りながら、時々質問などをしていました。川崎麗奈と二人で一緒に居ました。麗奈も楽しそうに質問などをしていました。そして由美子にそっと聞いてきました。

「もうすぐこの部活が終わるから、その後学校内のカフェに付き合ってよ。良いでしょう。」

「ええ良いけど。」

投稿者

ほたる

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