部活が終わり、二人は図書館を出たところにあるカフェに入った。由美子はそのカフェに初めて入ったのですが、外観も内装も白を基調にした、とても明るい雰囲気で、白い壁にルネッサンス風の絵画が飾られて、そこにクラッシックなピアノの音色が心地よく、由美子は心から癒される感じがした。
川崎麗奈は奥の四人がゆったり座れる、テーブルに向かっていって席に着き、由美子は川崎麗奈にそのテーブルの窓側に座るように指示された。そして川崎麗奈も窓側に座った。そこに店員が水を持ってきた。その時川崎麗奈は店員に通路側にも、もう二つ水を持ってきてもらえるように頼んだ。
「ねえ私たち以外にもだれか来るの。」
「ええ。もうすぐ来るわ。あっ、ほら来た。」
その時ドアが開いて、松田響輝と川崎麗奈の彼氏がカフェに入って来た。川崎麗奈は右手を高く上げて、二人に居場所を知らせていた。二人は通路側に座った。もちろん川崎麗奈の彼氏は彼女の隣に座ったので、松田響輝は必然的に由美子の隣に座ったのである。
「遅かったのね。」
「君たちが早かったのだよ。」
川崎麗奈と彼氏はそんなことを言っていた。そこにさっきの定員がやって来て、四人は珈琲とチーズケーキを注文した。由美子の隣でゆっくり微笑みかけながら、小さな声で話しかけた。
「僕たちが入って来て驚いたって顔だね。迷惑だったかな。」
「いいえ、別に迷惑だなんて、ただちょっと驚いただけです。あの松田さんもミステリー同好会に入部される予定ですか。」
「そのつもりですが、あなたはまだ決めていないのですか。できれば一緒に入部していただけたら、ミステリー同好会に来る楽しみが増えるのですが……。」
「あの施設をいつでも使えるというのはとても魅力的ですね。でも私ミステリーって小説を読むこと以外できませんよ。だからみなさんの活動の邪魔にしかならないかもしれませんよ。」
「僕も読むことしかできませんよ。そんなに堅苦しく考えないで、自由に行きましょう。部長もそう言っていましたよね。」
そう話す松田響輝の目がとても神秘的で、由美子は引き込まれるような気持ちになっていった。(なんて魅力的な人なんだろう。白い肌に漆黒の光を放つ瞳、この世の中にはこんなにも美しい男性がいるなんて、見られているだけで、何も考えられなくなるわ。)
「ねえ、一緒に入部しましょうよ。松田君だけでなく、由美子さんと一緒に活動できたら、私も楽しみが増えるわ。」
川崎麗奈はそう言って、自分の彼氏の方を見て同意を促した。