由美子と響輝がそんな会話を交わしている時、先輩たちが2人のそばにやって来て話しかけた。

「楽しそうにお話してますね。何か面白いことでもあるのですか。」

そう言ってきたのは、2年生の男子生徒でさっきまで4人グループでミステリー映画をみていた。その4人の中で一番人懐っこそうな人でした。後ろには後の3人もついてきていました。

「実は映画を見ていたのだけど、あまり面白くなくって、フッと見たら楽しそうに話していたので、何か面白いことがあるのかなと思って声かけました。いきなりで驚かせたなら申し訳ないですね。僕たち結構好奇心が強くて、いつも楽しそうな人を見ると、声かけることにしています。何の話をされてたのですか。」

 響輝は由美子の方に顔をむけて、話していいかどうか伺うような様子を見せた。由美子は少し恥ずかしく思ったが、軽く頷いて了承した。

「神城さんが起業を考えていらっしゃって、その話をしていたのですよ。」

「へ~、すごいですね。実際この学校には在学中に起業する生徒も、時々いるのですよ。ちなみに神城さんはどんな事業を考えてらっしゃるのですか。」

 由美子は響輝に話したことと同じ内容の話をした。

「なるほどホームページの作成ですか。良いアイデアですね。まずは自分の事業の宣伝用のホームページを立ち上げて、自分の会社のホームページ作成に力を入れるといいですね。確かにリスク管理も大事ですが、借金せず小さな起業をしていけば、大したリスクはないです。」

「そうでしょうか。私の父は銀行の融資係の仕事をしているのですが、父に起業計画を見てもらうと、まだまだ甘いと言われたので……」

「借金しなければ、ダメだったらすぐやめて、次に行けばいいですよ。何よりリスクなのは機会損失ですよ。とりあえず、やってみないとわからないことがたくさんありますよ。」

 由美子はずいぶんと無責任な意見だと感じた。しかしこの学校には私以外にも、起業しているという人がいるのは、はじめて聞いたので、その人に会ってみたいとも思った。

「あの現在起業されている方は、お知り合いなのですか。もし差し支えなければ、ご紹介いただけませんか。お話をお聞きしてみたくって……」

「いいですよ。これからでも、僕たち4人は起業してますから、何でも聞いてみてください。」

「ええ~。本当ですか。」

「嘘なんかつきませんよ。みんな小さな会社ですけどね。」

投稿者

ほたる

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