ミステリー同好会が終わり由美子は帰宅した。来週からゴールデンウィークが始まるので、その間に法人を設立する書類を作成しよう。父には以前出した事業計画を、さらに小さくして、お金をかけずに行い、リスクを減らすことで説得しようと考えていた。そこまで考えた時、由美子の部屋にノックがあった。

「由美子少し良いですか。」

「はい。お父様もちろんですよ。私もお話を聞いていただきたいのです。」

「それはこの前の起業の話かな。私の話もそのことなんです。あの計画をもう少し縮小して、小さな起業なら問題はないと思うんだ。ただし、自分が学生であることを忘れずに、勉強に差し支えないようにしなさい。お母さんには私の方から話しておくよ。」

「ありがとうございます。私も小さな事業にして、リスクを抑えようと思っていたのです。じゃあもう一度その方向で計画を立て直してみます。」

父は話が終わり、部屋を出て行って少しすると、由美子の携帯に電話が鳴った。川崎麗奈からであった。

「もしもし由美子さん、ゴールデンウィークの予定ってもう埋まっているのですか。5月3日の憲法記念日はあいていませんか。」

「特に今は何も入っていませんが、どうしてですか。」

「その日に松田響輝さんが夕方からホテルで新曲記念パーティーがあるの。コアなファンだけが集まるイベントみたいなの。そのチケットが手に入るのよ。ディナーもついているのよ。一緒にいきましょうよ。」

「でも両親が許可してくれるかどうか。結構うるさいから……。」

「じゃあご両親も一緒に来られたらいいんじゃないの。まだ余分にチケットはあるしね。」

「そんなの悪いわ。母は松田響輝さんの大ファンだから、喜ぶだろうけど……。」

「じゃあ決まりね。詳しいことはメールで送るから、確認してね。」

電話が切れてしばらくすると、川崎麗奈からメールが届いた。パーティーは一流ホテルで午後6時から行われるとなっていた。その後母に話すと、もちろん大喜びで、早速着ていく服などを考え始めた。父もせっかくだから家族で行かせていただこうと言った。

投稿者

ほたる

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