誰も松田響輝との連絡は取れなかった。もちろんパーティーは中止になった。しばらくすると、刑事たちは松田響輝を参考人として、手配すると決めたようだ。彼の両親は知らせを受けて、すぐに駆け付けて連絡を取っていた。それでも連絡が取れず、刑事たちに対して、事件に巻き込まれた可能性が高いと訴え、捜索をお願いしていた。
その混乱した状態の中、刑事たちに連絡が入ったようだった。その内容はとても衝撃的者で、松田響輝の控室で殺されていた女性は、彼が以前失恋した女性アイドルだった。死に顔があまりにも変わり果てていたことと、TシャツとGパンでノーメイクのため、現場にいた人たちは誰も人気アイドルだとは気づかなかったのも、仕方のないことだった。
刑事たちはこの事実を知って、益々松田響輝に対する疑惑を深めた。松田響輝の両親に事情聴取を始めた。しかし両親からは何も得られる情報はなかった。また刑事たちはアイドルと交際している俳優にも話を聞きに行った。俳優は2日前から1週間の休暇をとって、別荘で過ごしているとのことだった。
2人の刑事はすぐに俳優の別荘に向かい、事情聴取を行いました。
「刑事さん、本当に美鈴は殺されたのですか。誰がそんな酷いことを……」
「それを今捜査しているところです。どうかご協力よろしくお願いします。」
「もちろんどんなことでも協力します。一日でも早く犯人を見つけてください。」
「彼女を恨んでいる人に心当たりはないですか。」
「皆さんもご存じだと思いますが、松田響輝さんとは以前いろいろありました。しかしもう昔の話ですし、今更彼女を殺すとは思えません。僕も彼女もこの芸能界にいるため、常に妬みや逆恨みなども、気づかないうちに買っていることはあるかもしれませんが、殺されるほど彼女が恨まれていたとは思えません。」
「失礼ですが、週刊誌ではあなたと彼女の不仲が取り沙汰されています。あなたは大企業の社長令嬢と婚約して、結婚間近だが、美鈴さんとはその件で揉めているとも書かれていました。そうなるとあなたにも動機があるのではないでしょうか。」
「確かに週刊誌にはそう書かれていますが、事実ではないです。その社長令嬢の父親が僕の今度主演する映画のスポンサーのため、そのご家族とともに食事をしただけですよ。美鈴もそのことは知っていたので、特に揉めるなんてことはなかった。」
「そうですか。念のため今日の午後から6時くらいまで、何をされていたのか聞かせていただけませんか。彼女の死亡推定時刻は1時から6時くらいまでです。」
「はい。今日は昼食をこの近くのレストランから配達してもらいました。そこの店員が持ってきてくれたのが、13時30分くらいだったと思います。その食事を食べてから、以前から撮りためていたビデをを見ていました。その後シャワーを浴びて、同じレストランに夕食の配達を頼みました。それを定員が持ってきてくれたのが、5時くらいでした。その夕食を食べてゆっくりしていたのです。」