刑事は続けて質問した。
「この別荘にはずっと一人で過ごされていたのですか。」
「調べればすぐわかることなので、お話しますが、実は僕のファンだという女子大生と、今日の午後3時くらいまで一緒だったんです。刑事さんこのことは公にはしないでください。相手の方にも迷惑になりますので、ほんの遊びだったのです。」
「その方とはいつからここに一緒に居たのですか。まさか2日前からってことはないですよね。」
「2日前からです……」
「あなたには美鈴さんという恋人がいるのではないですか。そうなると先ほど言っていた週刊誌の話も、あなたは否定していましたが、それも怪しくなりますね。」
「刑事さん、僕には美鈴を殺すなんてことはできませんよ。さっき刑事さんが言っていた美鈴の死亡推定時刻の午後1時から6時にはここに居ました。それに美鈴は今日はドラマの撮影で静岡に行っていると聞いていましたよ。彼女のマネージャーから聞いたのです。だからなぜホテルで殺されたのか……」
「それは本当ですか。」
「はい。だから最初この別荘に誘ったのですが、そう言うことだったので……」
「だから女子大生をここに呼んだのですか。」
「……」
「しかし、どう考えても不思議な話だな。静岡にいるはずの人がなぜホテルにいたのか。」
「疑うのなら、美鈴のマネージャーやレストランの店員に確認してもらってもいいですよ。ここからホテルまでは片道2時間かかります。往復で4時間かかるのです。僕がどうすれば美鈴を殺すことができるのですか。教えてください。」
「わかりました。確認させていただきます。ご協力ありがとうございます。」
2人の刑事は別荘を出て行った。夜も更けていたので、マネージャーとレストランの店員には明日確認することになった。刑事は捜査本部に戻っていった。
捜査本部には多くの刑事がすでに座っていた。そして間もなく捜査会議が始まるところだった。人気アイドルの殺害事件である。刑事たちの緊張感はかなり高まっていた。